How to become an expert in anything in less than four years

A snippet found by bicycle. 石黒 僕、カズオ・イシグロの『私を離さないで』っていう小説が好きなんです。そのなかで、大人になるっていうことは、小さい頃に分からなかった人とか心とか、そういった問題にテキトーな折り合いをつけて分かったふうなことを言うことだ、って書いてあるんですよ。僕は、その通りだと思います。だから「親の言うことを信用するな」ということをずーっと中学校とか高校で言い続けている。先生の言うこともですね、信用しちゃダメだ、っていうの。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) ―― なんだか……ここまでの話を聞いて、石黒先生がアカデミズムの世界にいるのが奇跡に思えてきました(笑)。どうしてそんなふうに自由に生きて研究者になれたんでしょうか。どうやら、石黒先生の個人的な体験とロボットの研究はかなり密接に関わっているようです。もう少しお話を聞いてみましょう。 人間に生きている価値などない ―― 石黒先生は、もともと研究者になりたいと思っていたんですか? 石黒 いやいや、そんなことはない。僕は絵描きになろうと思っていたから、受験勉強をしていないんですよ。  昔からどちらかというと病気がちで、あまり生きることに執着がない。何をしてもいいし、死んでもいい、自分に言い訳のないような生き方をしよう、と思って、バイクに乗るか絵を描くかしている毎日だったんですよ。でも、さすがに手に何も職がついてないと食っていくのが大変だなと思って、コンピュータを勉強して、そこから人工知能やロボットをやりだしたんです。 ―― え、そんなにパっとできるんですか? 絵描きから人工知能とかロボットの分野って……かなり畑違いじゃないですか? 石黒 俗世間を生きるための縛りみたいなものを持たないでいると、けっこうできるんですよ。僕、3年ごとに、全部研究テーマを変えているんです。普通の研究者っていうのは、分野とか、大学とかがあるんですけど、そういうのも持たない。要するに根無し草なんですよ。社会に帰属するポイントがないので、どうでもいいです。 ―― なかなか普通の人はそういうふうにはいられませんよ。 石黒 余計なこと考えないで、死ぬ覚悟をすればいいんです。 ―― いや、そんなの、たぶんみんな死ぬと思いますよ(笑)。 石黒 人間が唯一生きている意味はね、自分が生きている意味を探すということ以外はなにもないと思うんです。最初からある価値なんてないんだから、努力をやめたいと言う人は、死にたいと言っているようにも聞こえる。 ―― 究極的な答えですね。 石黒 でもこう言うと、高校生なんかはすごく安心してくれるんです。小さいころは「人の命は大事だ」とか、「あんたの命は価値がある」だとか言われて育つけど、高校生くらいになると、自分に他の人と比べて能力があるわけではないことがわかるじゃないですか。だから「価値ある、価値ある」と言われても全然実感がないと。  みんな「価値ある」っていうけれど、私自身はまったく中身はないんだ、ということで悩むやつ、けっこういるんです。 Who is Hiroshi Ishiguro? Read about him here: http://en.wikipedia.org/wiki/Hiroshi_Ishiguro
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